コンディショニング基礎概念 ~筋肉の弱さが与える悪い影響【深層筋編】~
目次
深層筋が鍛えられていないことが身体に与える影響
前回の記事にて深層筋と表層筋の機能的役割を書きましたが、
今回はそれらの筋肉が上手く働いていない場合に身体にどのような悪い影響を与えるかを書いていきたいと思います。
今回は単純に深層筋が鍛えられている場合とそうでない場合について、という観点でシンプルに書いていきたいと思います。
深層筋がしっかり鍛えられている場合
図A1
上の図A1のように赤い線の深層筋がしっかりとバランス良く鍛えられていれば、全体として大きく曲がっても骨と骨を安定させる機能が上手く働きやすくなり、一つの骨や組織にかかる負担が少なります。
つまり、オレンジ色の線の表層筋が強く働いても、深層筋が上手く働くことによって骨や筋肉などの組織にかかる力は全体に分散され、全体として上手くバランスを取れるようになります。
図A2
上の図A2で説明するとピンクの→が関節にかかる力を表し、大きさがそのまま力の大きさを表しています。(図の見やすさの関係で3部分だけに矢印を書いています)
この図であると、上手く力を分散してそれぞれの部位で崩壊が起こらないように力のバランスを保っています。
結果として一つの部位にかかる力は小さくなります。
これをテンセグリティ構造といいますが、これについてはまた別の記事にて紹介したいと思います。
深層筋があまり鍛えられていない場合
図B1
上の図B1は先ほどの図A1より深層筋がとても細いですね。このような状態で表層筋が強く働いてしまうとどうなるでしょうか?
図B2
だるま落としを横に振ればあっという間に崩れ落ちてしまうように、安定性が少ないために各パーツが大きく動くことによって余分な力が組織にかかってしまいます。
このことにより身体にたくさんの悪い影響が起こります。
①突発的なケガをしやすくなる
図B2のように、力が一か所に強くかかりやすくなり、その部分が構造上の耐久能力を超えた力を受けると崩壊します。つまりケガをしやすくなります。
普段運動をしていない深層筋が全く鍛えられていないお父さんが、運動会ではりきっちゃってケガをするなんていうのはまさにこの典型でしょう。
②筋肉に過緊張が起き慢性痛につながる
しかし人の身体はよくできているもので、一か所に力が強くかかろうとすると、そうならないように筋肉が上手く防衛反応を起こしてくれます。
筋肉でいうところの伸張反射という反応もその一つです。筋肉が伸びすぎると切れてしまうため、そうならないように素早く筋肉が伸びると痛めないように縮むよう反射が起きます。
同様に関節に痛みが出る場合も、それ以上動かかすと危ない!という信号が出ることによりその動きに抵抗する筋肉が緊張します。
普通ならケガを防止する良い反応なのですが、この防衛反応が長く続くとその部位が固まってしまい、身体のバランスを悪くし、血流を悪くし、組織そのものが柔軟性を失ってしまい、最終的には傷んで部位そのものや、関連するその他の部位の慢性痛を引き起こしてしまいます。
③運動の制御が行いにくくなる
大工さんがよく現場で使う組み立てられた「足場」
しっかり作られているからこそ、その上で細かい作業や大変な作業ができますよね。
この足場がゆるゆるだったらどうでしょう?風が吹くたびに揺れ、動くたびにゆれ、重い物を運んだ時には傾き・・・とても作業しにくいですね。
深層筋はここでいうしっかりとした安定した「足場」を作るために必要な筋肉なのです。つなぎ目をしっかりと固定するボルトや紐のような役割のイメージでしょうか?
足場が安定しているからこそ、作業がしやすくなるように、深層筋がしっかり鍛えられて骨と骨との関係性が安定しているからこそ、余分な動きが起こりにくくなり、運動がスムーズに行いやすくなるのです。
足関節、膝関節、股関節などがしっかり安定しているから素早い反応が行いやすくなるのです。
膝がゆるゆるでがくがくしていては反応も悪くなってしまいます。
また深層筋がしっかり働いていると、一か所への組織への負担も減ることにつながり、②の過緊張が起きにくくなります。しいては余分な筋肉の発揮や運動も少なくなり、スムーズに身体を動かすことにつながってきます。
スポーツが苦手な子を観察すると、とても動きがギクシャクしていることが多く、この過緊張がかなりの強さで発生していることが伺えます。
まとめ
深層筋が弱いことによる弊害はまだまだたくさんありますが、大きく3つのことについて身体に与える悪い影響を書いてみました。
深層筋が鍛えられていると構造として安定しやすく、突発的、慢性的なケガの防止や運動の制御が上手く行いやすくなる一つの要因になることが分かりました。
弱くなると全くの逆になります。
次回のコンディショニング基礎概念の記事は、これらのことから鍛えるべき順番は深層筋→表層筋の順番が良いのでは?
ということに関連して記事を書きたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
take breath:)
Laugh Style 西村
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